若妻が・・・】チャラ男の娘日記 第14日
「杉下さあああん!!レジ!!」
とんでもねー大絶叫。
100歩譲って
いや
10000歩譲ってあげて
ここがチャラ男のホームのクラブだったら許してやりましょう。
マッチョでブラザーな外人セキュリティーに頼んで、丁重にお外に追い出すまでですよ。
だけど
ここはドラッグストア。
チャラ男、アウェー。
ババアはホーム!
「杉下さあああん!!!!」
ババア再び絶叫す。
杉下は一向にやって来ず。
代わりに
ちょろちょろ客が入ってきやがったyo!
商品見るふりしながらこちらを伺っているから
ババアの叫びが
とんだ客寄せになったことは明らかな事実。
雪山に遭難して大声で助けを呼んだら
雪崩が起きちゃった!
そんな感じだyo!
ちょ、待てyo!
そして、タラちゃん親子が俺の後ろに並んだんだ
yo!!
タラちゃん「まだー?」
お母様「まだよー」
控えめながらも、さりげなく女アピールしてくる香水にチャラ男レーダーが反応。
ヤバいです。これ俺が好きなやつじゃねーか。
さっき遠目に見た感じ
声の感じ
この女
若妻で若母!!
しかも
レベル高め!
よって
この人に、
今の俺の姿、見られたくない!!
「杉下さあああああん!!!レジレジ!!」
ふと思った。
面白そうだからって女装にチャレンジしようとしてみたものの
化粧買いに来ただけで
めっちゃしんどい。
なんでこんなことしてんだ。
これが面白いことなのか?
これが普段のチャラ男なら
「あー、もういらねーわ」
とか言って風きって店出ちゃうのに
今の俺、身動きできねえでやんの。
タラちゃん、お母様
僕ねお化粧してるんですよ。
知らないでしょ。
タラちゃん「きゃーい!」
お母様「ダーメ、迷惑かけちゃダメ」
俺が今やっていることは迷惑なことなのだろうか。
どうなんだろう。
タラちゃんのお母様、僕の顔見たらどう思いますか?
俺は依然レジを向いたまま、
でも後ろにはなんだか列ができているような雰囲気になってきたんですよ。
パシャって音がして「ギャハハ!」ってクソミソ三人組の笑い声が聞こえた。
あいつら、俺の後ろ姿撮ってんじゃねーだろーな!?
でもあいつらに再び微笑みかけるような勇気はどっかへ消えちゃった。
今になって俺は
一度も来たことのないこのシケた街とサエないドラッグストアを
人目につかなくていいという理由だけで
初めての化粧品を買う場所に選んだことを大いに後悔したんですよ。
そして固く決心しました。
「この街にはもうぜってー来ねえ!!」
その決意が俺を再びスパークさせました。
「なーにしてんのよおおお!!!早くしなさいよおおお!!!」
俺の絶叫、響いてました。
人前で初めて使う女ことば。
それは震えて
裏返って
キモかった。
タラちゃん、トラウマになったらゴメンなさい。
ババア、「え?」と言ってフリーズした。
ババア、ひどい顔してた。
だけど、化粧してた。
おばちゃん、いつもどんな感じで化粧してんの?
化粧楽しい?
「もういらないわよおお!!!」
チャラ男、店を飛び出しました。
後ろを振り返らなかったのは、あの親子へのせめてもの気づかい。
きっとみんな察したでしょーよお。
俺、走りました。
この道で合ってるかとか関係なく。
走りました。
止まっちゃう方がずっと恥ずかしかったから。
俺ね
涙出てました。
続きは第15回 チャラ男の娘日記 で。(2016年7月20日配信)
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