第38回 「悪魔の設計図!クライマックスシリーズ3」色情スパイラル

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中川と共謀して、自分の痴態を隠し撮りされたことなど露ほども知らぬ美沙は
ダイを自分の家に招き入れた。これまで二人が会うのは決まって外だったのだが、ダイが美沙の容貌通りの格好で渋谷でデートしセックスしてから、すっかり惚れ込んでしまった様子なのであった。おなべ体質のダイにとって、女の子らしい巻き髪のウィッグにフリルがついた服など苦痛以外の何物でもなかったが、自分をみつめる美沙の瞳にこれまでにない情熱がこもっていることに喜びを感じたのもまた事実であった。
と、同時に生来が悪魔的思考のダイは、この娘を地獄に叩き落としたいという欲望に駆られるのであった。

前月26日の渋谷道玄坂のラブホテル「ラブる」の爆発事件は、まさにダイが関与したものであった。オーナーの田口浩史が、娘ダイのホテルでの度重なる悪行を悔い改めさせるべく、自身に巻きつけたダイナマイトに火をつけたのである。
それは飽くまで脅しだった。
ダイナマイトは作り物だったのだ。
だが、田口は吹っ飛んだ。
これまで説教のたびに、田口はダイナマイトをチラつかせて、「コロちゃん!あたしと死ぬか!?」と叫ぶのがお決まりだった。
ある日、ダイは田口が愛飲している特大ペットボトルのコーラに睡眠薬を入れて眠らせ、スカスカのダイナマイトのレプリカの中に火薬を仕込んだ。
そして、田口はそれに火をつけホテルの部屋もろとも吹っ飛んだのである。
ダイの悪魔的発想が見事に昇華したドラマだった。
火薬の量、爆発までの時間すべてが計算され、ダイは全くの無傷でホテルを脱出したのである。相棒の中川と共に。

事件は大きく報道されることとなった。当初はテロの可能性が上がっていたが、それはすぐに否定され、営業停止中のラブホテルオーナーがはかった自殺という三面記事に移行する。週刊誌、スポーツ新聞、そしてワイドショーが格好のネタとして飛びつき、田口が女装家であること、営業停止となったホテルで美人局が横行していたなどの情報が連日発信された。当然、田口の身の上に取材は及び、過去の離婚、腹違いの娘が二人いるなど、掘れば掘るほど出てくるネタの宝庫に報道はさらに過熱し、人々の下世話な好奇心を大いに満たすのであった。

それでも自身に取材が及ばなかったことで、ダイはまた悪魔的思考を働かせた。
この事件をお涙頂戴のストーリーに仕上げて、美沙により接近するための材料にしようと考えたのである。自分の父親を爆破したことは当然伏せ、長年会っていない父親がこの事件のホテルのオーナーなんだと涙ながらに語った。すっかり信用した美沙はダイを家に呼び込んだ。小田急線の経堂のマンションだった。美沙はこれまで言っていた東武東上線の下赤塚はウソだったのだと謝ってきた。
きっと同情心が警戒を解いたのだ。
涙をなめてくる美沙に「ありがとう」などといいながらダイは心の中でほくそ笑んだ。
そして少女の名前が「相田美沙」であることをこの時知ったのである。

 

明日の日記へ続く。

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