ラブホテルとアメニティー】チャラ男の娘日記 第22日
ヤバイよヤバイよ!!
焦りで指先を無意識に動かしていたせいで、アイテープは
汗の滲んだべっちょべっちょの鼻クソと化してました。
サンプル採取ならず!
それより、今は俺の命に関わるかもしれぬ重大な危機なのである!!
キャハ子「うん、うん」
いまこいつが喋っている相手は彼氏なのだろうか。
それとも友達?
ヤリ友?
メル友?
いや、メル友はねーな、だって
電話してるもの!
おそらく電話の男は、これからこのホテルへ向かってくるだろう。
いや、すでに話しながら向かってんのかもしれない。
さっきブー子は「なんで帰ってんの?」って言ってた。
このホテルはクラブの間近。
つまり男が既にお家に帰ってるとしたら、ホテルに来るまでにはいくらかの時間はあるはず。
それに今は真夜中じゃねーか。電車止まってるわ。
ブー子「道空いてるでしょ」
お車でした!!!(泣)
真夜中の空いている道路を黒塗りの車が猛スピードで走り抜ける。カスタムしたウーファーから鳴り響く大音量のヒップホップが、ごきげんに空気を切り裂いていく。
HEYメーン
そんな感じでしょーよお!!ヤバイって!
ブー子がまた俺をキッと睨む。
ブサこええええええ!!!
今の俺の選択肢は二つ。
このままふるちんのまま立ち尽くして、ブー子の男の到着を待ち、
ふるちんのまま土下座をして謝り倒すか。
一刻も早くこのホテルから脱出するか。
ドチラニシマスカ?
ホテル脱出に決まってんだろ!!
早く逃げてって!ヤバイって!
再び俺の中で出川が叫びだす。
哲っちゃん、テレビでいっつも大変な目に合ってる見て俺バカにしてましたけど、やっとあんたの偉大さがわかりましたよ!これからは心の師匠と呼ばせて頂きます!
チャラ男、そーっと洗面台に戻りました。
ここまで来て手ぶらで帰るわけにはいかないのである!
ね、そうでしょ!?
まだ使ってなかったゴミ箱から袋を取り出して、そこにアメニティーをぶっこみました。歯ブラシとかいらねーのも混じってるけどまあいーや。
ブー子がドタドタとこっちにやって来た。
ブー子「大丈夫、まだいる」
俺は袋をそのままにして、ブー子に続く感じで部屋へと戻りました。
裸の後ろ姿は腹立つことに一人前の美人で、それが顔と態度共に豹変したこいつへの腹立たしさを倍増させてきました。後ろから思いっきりはたきたくなったけど、
そんなことは勿論できないのであーる!(涙)
ブー子「知らねーし!だって踊ってたじゃん。一階で。覚えてないって!マジか?うんうん」
俺は、ブー子をすり抜け、ベッドと壁の間に脱ぎ捨ててたパンツとズボンを手に取りました。
財布とケータイ、ポケットに入れといて良かったぜ!
それとTシャツと。これで全部だな。
よし、このままさりげなく洗面台に戻って服着て、
アメニティーが入った袋を持って部屋を出ていくと。
これしかあるまい。
だが、俺の脳裏にラブホテルのあるあるシステムがよぎったのだ。
ラブホテルは、先に一人だけ退出する場合はフロントに連絡せねばならず、
それがない場合は、部屋に残っている者にフロントが確認の電話をするなど、引き止められる可能性が大なのだ。
いやこれが基本なのである!
なので、俺がこの部屋を飛び出すことができても、もう一つ難関があるのだ!
ブー子「ねえ今どこ?タワレコ?」
タワレコって渋谷の?
ここ渋谷なんですけど。
だとしたら、
もう近くまで来てんじゃん!!オイ!
都内一等地のタワーマンションのソファーでふんぞり返って、
ゴツい指輪をいくつもキラキラさせながらショットグラスを傾ける、HEYメーンな男が頭に浮かんできちゃった。
そしてこれから起きうる可能性。
もし、ホテル入り口で張り込まれたら‥。
ヤバイヤバイ!ホントにヤバイって!!!バイヤー!!!
続きは第23回 チャラ男の娘日記 で。(2016年7月28日配信)
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