第19回「コンマ一秒で花開く!百合族の午後!!」色情スパイラル
某月某日【とある娘の日記】
あの娘たちは、TSUTAYAを出て西武百貨店沿いにまっすぐに進み、途中で車道を走って渡りました。
その時どちらからともなく手をつなぎました。
磁力で思わずくっついちゃったような感じでした。
渡り切った後も手は離れなかったけど、それはどこかぎこちないものでした。
タワーレコードに入った二人は、いったん手を離しエスカレーターに乗りました。
各階降りては見て回っていました。
いや見ていたのかどうか。
全てが彼女たちの好みの音楽ではなかったはずです。
いってみれば店内のCDは路傍の花のようなものだったことでしょう。
その花畑を二人はいたずらにCDを触ったりしてながらただ通り抜けている感じでした。
「こないだ行けなかったものね」
そう言っていました。
2階に降りてきた二人はタワーレコーズカフェに入り、
洋梨のタルトを半分に分けあい、
あの子はマンゴージュース、
もう一人、、ゆる巻きの子とでも呼んでおきましょう、、はクランベリージュースを飲みながらお喋りしていました。
一時間ほど経ち、二人は席を立ちました。
その時、ゆる巻きがあの子の口に洋梨のタルトのかけらを持って行ったのです。
それを
あの子は
食べた。
かけらを
食べた!
いや、タルトは二の次だったのです。
あの子はかけらと一緒にゆるまきの指を咥えたのです。
私は見逃さなかった。
あの子の淫らな欲と駆け引きと恐れが入り混じっていた目を。
そしてそのわずかコンマ1秒で、ゆる巻きは自分へ向けられた好意に確信をもったのでしょう。
1階に降りるエスカレーターで、ゆる巻きはあの子を抱き寄せたのです。
そしてやはりコンマ1秒で、二人はお互いの気持ちを確認し合い何かのスイッチを入れたようでした。
ゆる巻きが言いました。
「また行く?あそこ」
店を出た二人はまた車道を渡り、東急ハンズ経由でセンター街を抜けていきました。
再び手は握られていました。
先ほどとは比べものにならぬほど固くでした。
二人が向かった先は道玄坂でした。
「また行く?あそこ」
この言葉が私の頭の中でリフレインしていました。
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