第24回「生きていたあいつ」色情スパイラル

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9月10日【ある患者の日記】

全身が痛い。
とても喉がかわく。

医者は奇跡的といったが、どうせならもっと素敵な奇跡が欲しい。

いつになったら起きられるのだろう。

このままだったら、本当に息しているだけの肉だ。

都会の窓から季節なんてわからない。

春も

夏も

秋も

冬も

雪が降る冬だけが季節感を感じられるのだとしたら、
それはあまりに寂しすぎる。

だけど、しょうがない。

コンクリートだらけの都会に季節が入りこむ余地なんてほんのわずかなのだから。

私の心のなかの季節はいつだろうか。

わからない。

だけど冬に桜を咲かせるつもりで生きてきた人生よ。

花咲じじいなのか、花咲ばばあなのか、よく分からないけど。

鏡が見たい。

化粧がしたい。

死んだと思ったら、生き延びて

何がしたいっていったら

化粧だけだった。

化粧こそが私の人生。

私の人生とは化粧。

化粧とは崇高な虚構。

虚実のオセロをくり返し。

神様、もう一度私に化粧をさせてください。

 

明日の日記へ続く。

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